樹脂部品供給会社小島プレスのシステム停止の影響

2022年2月25日、こちらの記事でロシアからのサイバー攻撃に対して、経済産業省が注意喚起を行っている件と共に、今回行われているサイバー攻撃への対策について、簡潔にご紹介させて頂きました。そんな最中、トヨタやダイハツ工業、日野自動車への部品供給会社である小島プレス工業でシステム障害が発生し、トヨタ自動車では、3月1日の国内全工場(国内14工場28ライン)の稼働を停止すると発表しました。

現在、小島プレスのホームページを閲覧することはできなくなっており、最新の情報を得ることが難しい状況になっているようですが、これまで伝えられてきた情報をまとめますと、先月2月26日(土曜日)の午後9時過ぎに、小島プレスのIT担当者がサーバのダウンに気付き、翌27日(日曜日)の朝にかけて、サーバだけでなく従業員が使用している全てのパソコンの使用を停止させたと報じられています。

システム停止後の調査結果は?

小島プレスは、トヨタ系列の会社に樹脂部品を供給している会社ですが、ロシアによるウクライナ侵攻とのタイミングで発生したシステムダウンに、ロシア情勢と絡んでいるのか、身代金要求型のランサムウエアに感染したのではないか?などの憶測が流れているようですが、サーバ・PC停止後の調査結果については、3月1日AM時点では正式に発表されたという情報を得ることはできませんでした。

日本政府は、米・EUと強調し、ロシアのSWIFTからの排除を決定したと報じられていますので、ロシアからの報復として日本政府機関だけではなく日本企業へのサイバー攻撃が活発化することが予測されていますので、十分なセキュリティ対策に加え、データのバックアップをまめに取得し、万が一トラブルが発生した際でも迅速にシステムを復旧できる準備だけはしておきましょう。

ロシア制裁が、クラウドサービスへ与える影響は?

システムの開発に携わる立場として気になるのは、サイバー攻撃以外にも、ロシア制裁がパブリッククラウドサービスやクレジットカード決済などへの影響が出てこないか等、心配事は尽きません。

パブリッククラウドサービスへの影響

日本国内で利用されているパブリッククラウドサービスと言えば、AWS,GCP,Azureなどがありますが、ロシアではロシアの国内法によって、ロシア国内から海外に個人データを保存することが禁止されている為、ロシア国内でAWS,GCP,Azureなどのクラウドサービスを利用することはできません。

その為、AWSなどのクラウドベンダーは、ロシア国内にDC(データセンター)を所有していませんので、各企業で利用しているパブリッククラウドにおいて、ロシアリージョンに構築したシステムやデータがといった心配をする必要はありません。

ロシア国内ローカルベンダーと契約し、何らかのシステムを稼働させている場合には、データの取り扱いや決済等について、今後の対応について検討しておいてもいいでしょう。

余談ですが、ロイター通信が、2022年3月1日2:19に「ロシアのデフォルトの可能性極めて高い、2桁の経済縮小も=IIF(外部リンク)」といったニュースを配信しています。記事の中で、「外国人が保有するロシア国債の規模は約600億ドルと比較的小さい」と報じられていますが、デフォルトの可能性以外にも、様々な情報が絶えず世界中を飛び交っている状況ですので、ロシア情勢については今後も注視していきたいと思います。