プログラミングを始めたばかり方にとって、「ゼロ除算」は避けて通れない問題の一つです。

今回は、プログラミング初心者に向けたゼロ除算がプログラミングの世界でどのような意味を持つのか、その背景にある「例外」と「エラー」の違いを交えながら解説します。

ゼロ除算とは?

まず、ゼロ除算の基本についておさらいしておきます。

ゼロ除算とは、プログラミングにおいて数値をゼロで割る演算のことで、ほとんどのプログラミング言語でエラーや特定の例外を引き起こします。

数学的に「未定義」とされているため、コンピューターもこの計算を処理することができません。

この問題は、ユーザーからの入力やデータベースからの取得データなど、予測できない数値が分母になる場合に発生しやすいため、プログラムが意図せず停止したり、予期せぬ結果を出力したりする原因となります。

ゼロ除算を防ぐためには、割り算を行う前に分母がゼロでないかをチェックする例外処理や条件分岐を実装することが重要です。

プログラミングの「例外」と「エラー」の違い

次に、ゼロ除算を理解する上で大切な、「例外(Exception)」と「エラー(Error)」について解説していきます。

エラー (Error)

プログラムの実行を続けることができない、深刻な問題です。たとえば、システムのリソースが足りない場合など、プログラム自身では対処が難しい状況を指します。

例外 (Exception)

発生する可能性が予測できる問題で、プログラムで対処できるものです。ファイルが見つからない、ネットワーク接続が切れた、そして今回のテーマであるゼロ除算などがこれに当たります。

ゼロ除算は、プログラムの書き方次第で事前に防いだり、問題が発生したときに適切に処理したりできるため、「例外」として扱われることが一般的です。

数学とコンピューターの「ゼロ除算」

数学の世界では、ゼロで割ることは「未定義」とされています。

5
div0=?

この答えは存在しません。数学的に意味をなさないため、計算自体が成立しないのです。コンピューターの世界でも、この数学的なルールは同じです。

コンピューターは非常に高速に計算を行いますが、ゼロで割るという命令は処理することができません。

無理に計算させようとすると、コンピューターは「この計算はできません」と判断し、プログラムの実行を中断します。これが、ゼロ除算が例外として扱われる理由です。

具体的なコード例で理解するゼロ除算

では、実際にコードでゼロ除算がどのように発生するのか見てみましょう。


Pythonでのゼロ除算の例

以下は、Pythonの例です。

numerator = 10
denominator = 0

result = numerator / denominator
print(result)

上記のコードを実行すると、次のような「ZeroDivisionError」という例外が発生します。

Traceback (most recent call last):
  File "main.py", line 4, in <module>
    result = numerator / denominator
ZeroDivisionError: division by zero

このエラーメッセージは、「ゼロで割ろうとしました」と明確に伝えています。このメッセージを読み解くことが、デバッグの第一歩となります。


JavaScriptでのゼロ除算の例

次はJavaScriptの例です。

JavaScriptの場合、他の言語と少し異なる挙動を示します。

let numerator = 10;
let denominator = 0;

let result = numerator / denominator;
console.log(result);

上記のコードを実行すると、エラーではなく「Infinity」という値が出力されます。

これは、JavaScriptがゼロ除算を「無限大」として扱うためです。しかし、このInfinityという値をそのまま後続の処理で使うと、予期せぬバグにつながる可能性があるため注意が必要です。

このセクションで、ゼロ除算が単なる計算ミスではなく、プログラムの実行を止める「例外」であることが何となくわかってきたかと思います。

次回は、このゼロ除算をどうやって防ぎ、安全なコードを書くのかについて詳しく解説してみたいと思います。

今日も一日頑張りましょう!